ごがつわらびはよめにくわせるな

蕨の旬は五月で、その時期の物はとてもおいしいという事。

あまりに美味しいので嫁に食べさせるのは惜しいという事から。

旬の蕨の美味しさと
嫁を普段よく思っていない姑の本音が見えるような言葉。


秋茄子嫁に食わすな
嫁には熱い飯に納豆食わせるな

• 蕨（わらび）

シダ植物の仲間で山菜の一つとされる。
春ごろにまだ若芽のものを採取し灰汁抜きをした後
おひたしなどにして食べる。
また根からとれるデンプンから作られるわらび粉はわらび餅の材料となる。

ごがつのくされだい

五月頃の鯛はあまり美味しくないという事。

四月から六月頃が鯛の産卵期となり
産卵を終えた鯛は身が痩せてしまい味が落ちる事から。

• 桜鯛（さくらだい）

産卵を終えた鯛は味が落ちてしまいますが
産卵前の鯛は卵や白子に栄養をとられ身は美味しくないですが
卵や白子を楽しむのが良いそうです。
桜が咲くころの鯛という事で桜鯛と呼ばれます。

• 麦わら鯛（むぎわらだい）

産卵を終えた鯛の事で味が落ちてしまい
身の締まりもなくなった状態の鯛の事。
麦が色ずくころの鯛という事で麦わら鯛と呼ばれます。
この麦が色づくころを《麦秋》と言い
五月下旬から六月上旬の頃をそう呼びます。
別名《落ち鯛》

• 紅葉鯛（もみじだい）

産卵を終えた麦わら鯛が夏の間に栄養を付け
秋になって丸々と太った物で晩秋の紅葉の季節の鯛という事で紅葉鯛と呼ばれる。

ごがつおんなにあきおとこ

田植えの五月には女性が必要で
稲刈りの秋には男性が必要な事。

昔から田植えは多数で一斉に行い女性が主として担当していて
田植え働きの若い女性を早乙女などと呼んでいた。
また女性の生殖力を神秘的なものという考えがあり
これが稲の育成によい影響を与えると信じられていた為
田植えは女性を中心に行っていました。

秋の稲刈りも多数で一斉に行い大人も子供も参加していましたが
現在と違い全て人力で行っていた為
平均的に力や体力の高い男性が多い方が助かるという事。

こおりはみずよりいでてみずよりもさむし

弟子が師匠よりもすぐれている事の例え。

水が凍ったものが氷なので水が元になっているが
水よりも冷たくなるという事から。


青は藍より出でて藍より青し
出藍の誉

• 氷（こおり）

液体の水の温度が低くなり個体となったもの。
1気圧の状態では0度以下で水から氷となる。
かき氷として食したり、飲料へ氷を入れ冷やしたりする。

こおとこのそうみのちえもしれたもの

小男はその身に知恵がぎっしりと詰まっていても
身体が小さいので量も大したことがないだろうという事。

小男は小利口であるが大したことではないという意味。

川柳の「大男総身に知恵がまわりかね」と言われた大男の側が
自分から見ると小さい小男に対して返す言葉。


小男はみんな知恵でも知れたもの

• 惣身（そうみ）

総身と同じ。
からだじゅう。全体の事。
満身。

こおとこのうでたて

実力の無いものに限って相手と争おうとする事。

また、相手に立ち向かおうとしても取るに足らない事。

体の小さい男性ほど腕力争いで決着をつけたがる事から。


小腕の立て
蟷螂の斧

• 腕立て（うでたて）

相手を殴ったりねじ伏せたりする肉体的な強さの事。
また、その腕力を用い相手と争う事。

こえのたかいものがかつ

物事が正しいか正しくないかなど問題なく
ただ声を荒げ騒いだ者の意見が勝つという事。

声の高い者は自分が正しいという事を譲らず
他の意見は出たとたんにすぐに否定に走り
自分の意見しかないような態度を取り周りがそれにあきれてしまうという事から。

実際には他の意見などもちゃんと時間をかけ検討するべきであるが
声の高い者は感情が抑えられなくなり冷静でないため
自分の意見を通す事しか考えず周りを見ていなく攻撃的でもある為
周りはそれに関わらないようにしているだけであるという事。

一見声の高い者が得をしているように見えますが
実際には周りから毛嫌いされる事が多く
一時的に勝ったとしても長い目で見るとかなり損をしているのではないでしょうか。


理の有るは声高にあらず

• 声が大きい人の特徴

声が大きい人には自己主張が強く自己中心的な性格で
自分の立場を守るために相手を威圧するあまり余裕のない人が多いようです。
その場での勝ちだけにこだわりあとを考えない事もあるので
あまり感情的にならず冷静に柔軟性を持つのが良いそうです。

こえなくしてひとをよび

立派な行いをする人物には声を掛けなくても周りに人が集まるという事。

よい人の周りには自然と人が集まるという事。

声を出して呼ばなくても人徳のある者には人が集まる事。


声無うて人呼ぶ
招かずして来る

• 無声呼人（むせいこじん）

徳のある人のところには呼ばれなくても人が集まるという意味で
お茶の老舗《福寿園》に伝わる家訓とされています。

こえなきにききかたちなきにみる

親孝行をしようとする気持ちの強い事。

また、注意や配慮の行き届く事。

子供は親が近くにいない場合でも
常に親の事を察して行動するべきであるという事から。

相手が何かを言う前や何かをしようと行動をする前に
相手の気持ちを察しそれに尽くすという事から。

• 声無き（こえなき）

口には出さないが心で思っている事。

ごえつどうしゅう

折り合いの悪いもの同士が
何かしらの緊急事態に一時的に協力しあう事。

また、仲の悪い者が同席する事。


舟を同じうして江を渡る
同舟相救う

• 語源（ごげん）

中国の戦国時代に呉と越の国はよく戦闘をしていて仲が悪かったのですが
ある日呉と越の国境にある渡し船に呉人と越人の集団がそれぞれ乗り込み
お互いを意識しながらも関わらないようにしていました。
舟が川の中頃に来た時に天候が悪く舟が沈みそうになると
普段は仲の悪い呉人と越人は力を合わせ舟が沈むのを力を合わせて防ぎ
無事に乗り切ったという故事から。