けんかはふりもの

喧嘩は突然降ってくる雨のように
あらかじめ用意しておく事はできないという事。

降って湧く突然の出来事ではどうしようもないという事。


口喧嘩は時のふり物
喧嘩にかぶる笠はない

• 降り物（ふりもの）

俳句などで雨や雪・霜や露などの天候の事。

• 降って湧く（ふってわく）

突然起こる出来事。
ある現象が唐突に思いがけず起こってしまう事。

けんかにかぶるかさはない

喧嘩は感情の高ぶりにより突発的に起こるものなので
前もって準備などする事ができず防ぐ方法はないという事。

いきなり売られてきた喧嘩はどうする事も出来ないという事。


喧嘩は降り物

• 笠（かさ）

様々な種類があり
雨を防ぐ雨笠や
日光を防ぐ陽笠
戦で使う陣笠
など用途で様々なバリエーションがある頭を守るかぶり物。

けんかとかじはおおきいほどよい

野次馬の心理を表した言葉。

自分の利害とは無関係な物は派手で見ごたえのあるものが良いという事。

現代では動画などでよく炎上やバズるなどの現象があり
これも野次馬の心理と似ていると思われる。

• 野次馬（やじうま）

本来は年老いた馬や気性の荒く思い通りにならない馬の事。
そこから転じ、自分とは関係のない物事に対し特別の興味を示し
あたかも当事者のように騒ぎ立てたりする事。

けんかすぎてのぼうちぎり

時期が遅すぎて何も役に立たない事。

喧嘩が終わってから棒を持ってきて振り回しても
相手はもはやいないので何も意味がないという事から。


いさかい果てての棒千切り
葬式すんでの医者話
喧嘩過ぎての棒乳切木

• 棒乳切り（ぼうちぎり）

棒乳切り木の略で棒千切りとも書く。
物を担いだり、振り回したりするのにちょうどよい棒の事。
喧嘩や護身の使用時にはこん棒として活躍する。

けんかすぎてのからいばり

喧嘩をしている最中は意気地がなくビクビクとした態度だったのに
事が終わり相手が見えなくなると急に強がりを言い威張りだす事。

相手がいなくなると調子よく虚勢を張る事。


喧嘩すぎての向こう鉢巻

• 空威張り（からいばり）

実力がないのに虚勢を張る事。


イギリスの哲学者・神学者・法学者である
フランシス・ベーコンの名言。

空威張りする人間は
賢者に軽蔑され
愚者に感嘆され
寄生的人間にたてまつられ
彼ら自身の高慢心の奴隷となる。

けをふいてきずをもとむ

他人の失敗や過去などを無理やり暴き立てる事。

また、他人の失敗や欠点を暴こうとして
逆に自分の失敗や悪事などをさらけ出してしまう行為の事。

密集している毛を吹き分けてでも小さな疵を探し出すような事で
気にする必要もないような疵をわざわざ探し出して指摘するという事から。


毛を吹いて瑕を取る
毛を披いて瑕を求む
毛を吹いて過大の疵を求むる
藪を突いて蛇を出す
あかを洗ってあとを求む
毛を吹いて過怠の疵を求むる

• 傷と疵（きずときず）

同じ意味として解釈される事もありますが
身体につくキズを傷と書き
過ちや罪などには疵という字を使います。
また瑕もキズと読み、この場合は《玉に瑕》などのように
美しい物やほぼ完全な物に少しの欠点がある場合に用いられます。

げろうはくちさがないもの

身分や立場が低くそれでいて向上心などがなく
ただ周りをこき下ろす事だけが楽しみなような心の卑しい人たちは
自分ことを省みる事無くただ他人の悪口を言うだけであるという事。

自分が向上する事で他人より高い立場になる事を考えず
ただ他人の悪口をいい他人を蹴落とす事で
自分が高い立場になれると勘違いした考えの人の言動。

また考えなしにただ自分の立場の不満を
他を批判する事で満足させるつまらない行為。


口さがなきは下種の常
下種の口に戸は立てられぬ
人の口に戸は立てられぬ

• 口さがない（くちさがない）

他人を汚く罵ったり、他人の批判などを無遠慮にする事。
言動に品のない事。

げろうなくてはじょうろうもなし

身分の低い者がいなければ
身分の高い者も存在できないという事。

下種ない上臈はならずと同じ。

• 下臈（げろう）

官位の低い者。
また他人に使われる立場の人。

けらはらたつればつぐみよろこぶ

お互いの関係や価値観が一致せず全く反対であるという事。

一方が怒ればもう一方は喜ぶという事で
同じ事でも全く別の利害があるという事

鶫を捕まえるために螻蛄を餌にすると
螻蛄は怒ったように前足をあげてもがき
それを見た鶫は喜んで寄ってくるという事から。


つぐみ喜べばけら腹立つ
けらのたけり

けらのみずわたり

初めのうちは熱烈な意気込みで物事に対するものの
目的を達成する前に集中力が途切れ結果的に達成できない人の事。

飽きっぽく長続きができない人の事。

また、努力をしてもそれが実らない事の例え。

螻蛄は水を泳ぐ事はできるのですが
大きな川を渡り切るほどには持続力がないという事から。


おけらの水渡り