さじのさきよりくちのさき

口ばかりよくて腕の悪い藪医者の事。

診断や治療などの医者としての能力は全然だめだが
お世辞など患者の気を引くような話術は得意な医者という事から。

• 匙（さじ）

液体や粉末などをすくいとるのに適した道具。
将軍家や大名などに仕えた医師（侍医・御典医）などが
薬匙（くすりさじ）で薬を調合していた為
医者の意味で《お匙》と言われる。

さしでるくいはうたれる

出しゃばりな行動をすると仕返しをされてしまうのだという事。

また、他人よりも抜きんでたような実力がある者は
嫉妬のために周りから意地悪されるという事。

回りと比べ少し頭の出ている木の杭は
回りと同じ高さになるよう打たれるという事から。


出る杭は打たれる

• 差出る（さしでる）

出過ぎた行動をする事。
差し出がましい事。

ざしてくらえばやまもむなし

沢山のお金を持っていても
遊んでばかりいてはすぐ無くなるのだという事。

働く事もなく遊んで飲み食いをしていると
山のようにあったはずの財産もいつの間にかなくなるという事。


居て食えば山も空し
遊んで食えば山も尽きる

• 坐す（ざす）

座る事。
また座ったまま動かないという事から
何もしない事。

ささやきせんり

他聞をはばかるような話は思いのほか多くの人に知られてしまうものだという事。

秘密にしたいと思っている事は
他人の耳に入りやすいという事。

他人に聞こえないよう囁いた内容が
意に反して千里の遠くにいる人にまで知れ渡っているという事から。


こそこそ三里
ささやき八丁
口より出せば世間
壁に耳
内緒ばなしは江戸まで聞こえる

• 囁き事（ささやきごと）

ひそひそ話や内緒話の事。
《囁く》とは小声で話す事や噂をする事の意味があり
それを行う事で小さな声で内緒話をしたり
ひそひそと噂をする事などの意味。

ささのはにすず

とても話好きでよく他人と会話をしている人の事。

笹の葉は風が吹くとよく揺れ
その葉に鈴をつけるとずっと鳴り続ける光景が
休むことなくずっとおしゃべりをしている人のようだという事から。


笹の先へ鈴
笹葉に火の付いたよう
笹の先の鈴
竹の先に鈴をつけたよう
雲雀の口に鳴子

• 鈴（すず）

金属や陶器などでできた中にある小さな玉が動く事で音が鳴る道具。
神社の参拝時にならず巨大な物から
猫などの首輪につける小さな物など様々。

ささのつゆにもよう

わずかな量の酒を飲んでも酔ってしまう事。

酒の事を《ささ》とも呼ぶ事に掛けられた言葉で
露のしずくのようなわずかな量を飲んでも顔が赤くなってしまうという事から。

• 竹葉清酒（ちくようせいしゅ）

中国の薬種。
竹の葉やミカンの皮などの生薬を蒸留酒に漬け込み砂糖を加えたもの。
この名前が日本に伝わり酒の事を《竹の葉》と呼ばれるようになり
そこから酒の別名が《ささ》とも呼ばれるようになったようです。

• 笹（ささ）

小型の竹の事。

ざこもうおひれ

大小の違いはあっても基本的なものは同じであるという事。

雑魚のような小さい魚でも大きな魚と同じくひれがあり
身体の機能を構成する必要なパーツは同じという事から。

• 鰭（ひれ）

ほとんどの魚には必ずある体の部分。
尾びれ・背びれ・腹びれ・胸びれ・背びれなどが主なパーツで
全てが備わっているわけではなくとも
どこかのパーツが魚にはあると言われています。

ウツボなどは鰭がないように思われがちですが
とても長い背びれや尾びれ・臀びれなどがあるそうです。

ざこのととまじり

まるで能力のない無能な者が
実力のある有能な者の中に一緒にいる事。

地位も能力も低い人が
地位や能力の高い人たちと仲間でいるという事で
ふさわしくない地位にいるという事。

小魚が普通の魚の中に混ざり一緒に泳ぐ様から。


ごまめのととまじり
えびの鯛まじり
鰯俵も俵の中
ととの真似する目高
えびのととまじり
目高もととのうち
ちりめんじゃこも魚まじり

• 鰯俵も俵の中

もともと俵物とは中国との貿易で輸出していた
《いりなまこ》や《乾あわび》などを俵に入れて貿易していたのですが
後に海産物や米なども貿易用ではないが俵に詰めたため
貿易用の高価品と同じく庶民の食べる鰯も俵に入ってるので
高級品と庶民が口にする低級品が同じ仲間として扱われているという事。

さけのみほんしょうたがわず

酔っぱらっている時の行動は
その人の本心であるという事。

酒に酔い自制心をなくしたとしても
その人の本来の性質が変わるわけではなく
酔ったときの行動は本性からくるものだという事から。


酒は本心を表す
上戸本性をあらわす
酔って本性顕す

• 本性（ほんしょう）

その人の生まれ持った性質。
その人の本来の思考や行動など。

さけもってしりふまれる

恩を仇で返される事。

酒買って尻切られると同じ。


酒を盛るとは酒を注ぐ事で
せっかく酒を注いであげたのに
相手からは尻を踏まれるような行為をされるという事で
こちらの好意が通じない事。